アロマテラピーの歴史

アロマテラピーの歴史

香りはいつ頃から利用されてきたの? アロマテラピーが誕生したのはいつから?

人と香りのつながりは古代エジプト時代から

人と香りのつながりはとても古く、古代エジプト時代にまでさかのぼります。
エジプトではミイラ作りのためにフランキンセンスミルラが使われ、儀式の際には香りを焚く薫香が行われました。
古代ギリシャでは、アリストテレスの弟子であるテオフラストスが植物の分類や研究に従事して「植物学の祖」と呼ばれ、古代ローマではプリニウスが全37巻にも及ぶ壮大な『博物誌』を著しました。
また、『新約聖書』には東方の三賢人がイエス誕生の際に黄金と乳香(フランキンセンス)、没薬(ミルラ)を捧げたというくだりがあります。
古代の人々の植物活用方法を、そのまま現代に当てはめることはできませんが、アロマテラピーの根本をなす知恵は、人類の文明のスタートとともにあったと思われます。

中世には香料産業が発達

植物から精油を取り出す「蒸留(じょうりゅう)」には、錬金術が関係しています。
錬金術というとなにやら怪しげな呪術を連想させますが、実験を通してさまざまな物質を作り出す正統な学問の1つで、現代の化学の前身ともなったものです。
精油の蒸留がはじまった時期は定かではありませんが、芳香蒸留水を製造し医学に応用したのは、アラビアの天才医学者イブン・シーナーです。11世紀に書かれた彼の著書『医学典範』は、17世紀にいたるまで西洋の医科大学で教えられてきました。
17世紀になると、イタリア人のジョヴァンニ・パオロ・フェミニスが、ドイツのケルンで「すばらしい水=オーアドミラブル」を発売し、大評判となりました。この「ケルンの水」は最古の香水として知られますが、当時は胃薬としても使われました。これはフランスで「オーデコロン」として商標登録されています。
同じころ、ヨーロッパの貴族たちの間で香水が非常に好まれるようになり、フランス南部のプロヴァンス地方などが香水の町として発展しました。

西洋医学とアロマテラピー

精油は医薬であり、芳香療法は医療であった。こう書くと驚かれる人もいるでしょう。しかし、西洋医学の祖として知られるヒポクラテスや、「マテリア・メディカ(薬物誌)」(さまざまな薬物を研究、分類した本で、600種類もの植物が取り上げられています)を著した医師・ディオスコリデスらが活躍したロ―マ時代から18世紀にいたるまで、アロマテラピーはヨーロッパで医学の重要な柱だったのです。
薫香や浸剤(煎じて使う方法)が主体だった芳香利用の歴史の中で、大きな進歩の転機になったのは、11世紀のイブン・シーナ(アラビア人の哲学者・医学者)による精油蒸留法の確立でした。
イブン・シーナが著した「医学典範(カノン)」は、その 後長くヨーロッパの医科大学の教科書として使 われ、精油とその応用方法は、中世ヨーロッパ の修道院などで行われていた僧院医学さらには16世紀から盛んになったハーブ医学へと受け継 がれ発展したのです。

アロマテラピーの誕生と普及

アロマテラピーが誕生したのは最近のことで、20世紀に入ってからだと言われています。フランス人化学者ルネ・モーリス・ガットフォセが実験中に大やけどを負い、ガス壊疽(えそ)をおこした患部にラベンダーを塗ったところ非常に経過が良かった、というエピソードがあります。
この経験から、彼はエッセンシャルオイル(精油)の研究に没頭し、1937年に『Aromatherapie』を著しました。アロマテラピーという造語は彼が考案したものです。

その後、アロマテラピーはフランスとイギリスで違った方向で発展をとげます。
フランスでは、主に精油のもつ薬理作用の面が注目されました。フランスの軍医であったジャン・バルネ博士は、殺菌や消毒など、クスリとしての精油の作用について研究を行いました。

一方、イギリスでは、こころとからだのバランスを正常化させて健康を促進するという、ホリスティックな(全体的な)アプローチがとられました。精油を希釈してマッサージを行なう手法もイギリスで確立していきます。
イギリスのロバート・ティスランドは1978年に『芳香療法・理論と実際』を著し、アロマテラピーを体系的な学問としてまとめ上げました。ロバート・ティスランドやシャーリー・プライスらの活動により、アロマテラピーは発展と大衆化を実現していきます。
現代のアロマテラピーは、いわゆる近代西洋医学とは一線を画し、大自然の力を穏やかに活用する療法として発展しています。マルグリット・モーリーは、精油を植物油に希釈してマッサージすることで身心のバランスを正常にするという方法論を示した生化学者で、彼女の著書「最も大切なもの…若さ」は、イギリスのア口マテラピーに多大な影響を与え、ホリスティック(全体的な)アロマテラピーのきっかけとなりました。
また、ロバート・ティスランドは、モーリー夫人ら先人の理論や方法論を体系的にまとめあげた人物で、その著書「芳香療法・理論と実際」は、母国イギリスだけでなく、日本のアロマテラピー界の発展にも大きな役割を果たしたといえます。このように長い歴史を歩んできたアロマテラピーは現代社会において、心身を癒してくれる代表的なものとして、注目されるのは、ストレスの増大のほか、地球環境や自然志向への関心の高まりといえるのではないでしょうか。

このような長い歴史をたどり、アロマテラピーは世界中の様々な国のたくさんの人々の手助けとなっています。アロマはとても身近な存在で、いろいろな場面でその効果・効能を役立てながら私たちは生活しています。

また、日本では医療としてはまだ認められていませんが、「テラピー」という言葉にあるように、民間療法としても広がりつつあります。
日本では、アロマテラピーの定義は「ホリスティック(全体的)な観点から行う自然療法」とされています。まさに、現代のニーズにもぴったりの療法のひとつといえそうです。
日本で普及がはじまったのは90年代頃だと言われています。ストレス社会に生きる現代人に安らぎを与えるものとして、アロマテラピーは今後ますます注目を集めていくことでしょう。

アロマテラピーの注意事項

アロマテラピーに使う精油は、凝縮された植物エキスです。正しく利用しないと、危険な場合や、体に良くない影響を与える場合がありますので注意が必要です。

精油の取り扱い上の注意

  • 精油は引火する可能性がありますので、使用時は周囲の火気に注意しましょう。また、保管の際も直射日光の当たるところ、火気の近くには保管しないようにしましょう。
  • 保存する容器は、茶色やブルーなどの色がついた遮光ビンで保存しましょう。
  • 小さなお子さんのいらっしゃるお家では、お子さんの手の届かないところに保管してください。
  • 空気に触れる事で劣化が早まるので、必要以上にキャップを開けたままにしないようにしましょう。また、キャップはしっかり閉め、 開封後一年以内に使い切りましょう。レモン、オレンジなど柑橘系の精油は半年以内が目安です。

使用上の注意

  • 精油を直接肌につけてはいけません。肌につける場合は、必ずキャリアオイルや精製水等で希釈したものをご使用ください。
  • 精油を飲用してはいけません。もし誤って飲んでしまった場合は、多量の水ですすぎ、飲み込んだ分は無理に吐かせずに、すぐに医師の診断を受けてください。
  • 目や唇、肛門などの粘膜部分、傷口付近には使用してはいけません。
  • はじめて使用する精油は10倍に薄め、それを手首やひじの内側に少し塗り、あらかじめパッチテストを行います。体質に合わない精油もあるので注意が必要です。
  • 治療中の方、持病のある方、アレルギーなどの持病で薬を常用している方は、医師に相談してから行いましょう。
  • 妊娠中の方、授乳中の方には、通経作用のある精油など、使ってはいけないものがあります。十分に注意しましょう。
  • 乳幼児がいる場所での使用は十分に注意し、 芳香浴などで香りを楽しむ程度にしましょう 。

※注意事項を守り安全にアロマテラピーを楽しみましょう
その他にも、それぞれの精油には、さまざまな禁忌事項があります。特性をよく理解した上で使用しましょう。アロマテラピーの体系的な学習や資格取得は、お仕事として携わる方にだけ必要なものではありません。普段の生活の中で、芳香浴やセルフマッサージ、入浴などに利用する方も、正しい知識を習得して、安全にアロマテラピーを楽しんでください。

安全な精油の選び方

アロマセラピーに用いる精油は100%植物由来であることが原則です。香りが似たフレグランスオイル、アロマオイルという製品名で売られているが中身は精油ではない製品などもあるため注意が必要です。
※アロマセラピーの効果を得たい場合は、必ず100%植物から抽出された精油を用いる必要があります。
精油を販売する販売店、メーカーは数多く存在しますが、そうした中でどのブランドを選べばいいのか悩やんでしまいます。
そうした時は「AEAJ表示基準適合認定精油」ブランドリストを参考にしてみるのもいいかもしれません。

AEAJ(公益社団法人日本アロマ環境協会)は内閣府に公益認定されたアロマテラピー関連で唯一の公益法人です。日本国内で最も会員数が多く、アロマ関連の資格認定を行っている団体ですが、このAEAJが「AEAJ表示基準適合認定精油」を定めています。
「AEAJ表示基準適合認定精油」ブランドリストが公開されています。
https://www.aromakankyo.or.jp/aeaj/activity/oilguide/

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